新しい糖尿病の診断基準
上記フローチャートでは、従来の基準が黄色、新しい部分がピンクになっています。
第53回日本糖尿病学会学術集会で、新しい糖尿病の診断基準が発表になりました。
東大の門脇先生は新しいフローチャートを使っていましたが、内容は上記と同じです。
新しくなったことは、以下の通りです。

新しい診断基準では、診断基準に「HbA1c値 6.5%以上」([JDS値] 6.1%以上)が追加されます。

従来の診断基準では、

①早朝空腹時血糖値 126mg/dL以上、

②75g糖負荷試験(OGTT)で2時間値 200mg/dL以上、

③随時血糖値 200mg/dL以上、

のいずれかの血糖値が認められる場合に「糖尿病型」と診断し、

別の日に行った検査で糖尿病型が再確認できれは糖尿病と診断していました。


HbA1cは、「HbA1cが6.5%未満であっても糖尿病を否定する根拠にはならない」と補助的位置付けでした。しかし、HbA1cは採血時から過去1、2ヵ月の平均血糖値を反映する指標として有用であり、検査を行いやすいことから、今回の改訂で、上記の①~③に「④HbA1c値」が加えられました。これにより、血糖値とHbA1cの両方が糖尿病型であれば、1回の検査でも糖尿病と診断できるようになり、糖尿病の早期発見・治療の促進につながると期待されています。


新診断基準にHbA1c値が加わっても、糖尿病の診断は血糖値(①空腹時血糖値、②糖負荷試験(OGTT)、③随時血糖値のうちいずれか)とHbA1cの両方を評価するよう定められており、初回検査と別の日に行った再検査でHbA1cのみを満たすだけでは糖尿病と診断できないとされています。


初回検査でHbA1cが高く糖尿病型と判定し、再検査でもHbA1cが高く糖尿病型と判定しても、血糖値が糖尿病型でなければ「糖尿病疑い」にとどまり、「3~6ヵ月以内の再検査」が必要と判定することになります。ただし、初回検査で「血糖値のみ糖尿病型」の場合は、糖尿病の典型的な症状や確実な糖尿病網膜症のいずれかが認められる場合は糖尿病と診断できるのは従来通りです。


なお、HbA1c値については、国内の測定法によって得られるJDS値を、欧米を中心に使われている測定法であるNGSP値に補正し表記する方針を打ち出しています。検体や測定方法を変えなくとも、JDS値に0.4を足した値がNGSP値とほぼ同じであることが確かめられたそうです。


変更は、論文は2010年7月から、臨床は、約1年の猶予期間を置いて、次回糖尿病学会後に切り替え予定となりました。

2010年06月04日更新
キーワード: 糖尿病