日本糖尿病・妊娠学会ではIADPSG(International Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups)の提案に基づき、以下のように妊娠糖尿病の定義と診断基準を定めるようです。
2010年5月の日本糖尿病学会で検討された後、最終決定される見込み。
改定案妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM):妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。あきらかな糖尿病(overt diabetes)は含めない。
診断基準:妊娠中に発見される耐糖能異常hyperglycemic disorders in pregnancyには、1) 妊娠糖尿病gestational diabetes mellitus (GDM)、2) 明らかな糖尿病overt diabetesの2つがあり次の診断基準により診断する。
1)妊娠糖尿病 (GDM)75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。空腹時血糖値 ≧92mg/dl (5.1mmol/l)1時間値 ≧180mg/dl (10.0mmol/l)2時間値 ≧153mg/dl (8.5mmol/l)
2)あきらかな糖尿病 overt diabetes以下のいずれかを満たした場合に診断する。空腹時血糖値≧126mg/dlHbA1C ≧6.1%(DCCT standardized ≧6.5%)註1随時血糖値>200mg/dl**随時血糖値>200mg/dlの時は、空腹時血糖かHbA1Cで確認糖尿病網膜症が存在する場合註1.The Diabetes Control and Complications Trial (DCCT)DCCT standardized ≧6.5% はわが国のHbA1C測定法では≧6.1%に相当します。註2.妊娠中の75gOGTT 2時間血糖値≧200mg/dlの場合は、あきらかな糖尿病診断基準項目1)-4)について検討し、あきらかな糖尿病かどうか判定する。特にHbA1C6.1%以下で75gOGTT2時間値≧200mg/dlの場合は、明らかな糖尿病とは判定し難いので、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。